2010年11月26日金曜日

廃墟ブームって何だろう

集落の入り口付近から奥の山を望む
長崎の軍艦島が一般観光客にも解放され、「廃墟」なるものが観光資源として注目されるようになっています。確かに、廃墟に惹かれる理由は分かります。町全体で時間が止まり、朽ち果てていく様は異様で非日常です。人の営みの対偶として廃墟があるのかもしれません。

そんな廃墟、長崎に行かなくても関東近県にもあります。秩父の山奥、ニッチツ鉱山と呼ばれる場所ですが、正確に言えば現在でも工場が操業していて廃墟ではありません。ただ、ここに住んでいる人はいないため、かつての居住地や学校、商店、銭湯、集会所などは、廃墟状態になっています。

宿舎にあったポスター

集落の入り口からは秩父の山が見えますが、白い山肌がこの地に鉱物採取工場が建設された理由を教えてくれます。一本道を登っていくと、集会所や商店、鉱山労働者の宿舎、学校、公会堂が順番に現れます。公会堂はこじんまりしているものの、映画や演劇を楽しめる施設になっていて、チケット窓口もありました。

宿舎の中は1970年代で時間が止まっています。ちょっと不気味ですが、中には浅田美代子さんのポスターが張ったままになっているなど、楽しい生活の一部がそこに取り残されていました。

観光客はそれほどいませんが、ネットなどで情報は流通していてバイクや車、なかには自転車でこの地を訪れる人もいます。