2012年7月3日火曜日

荘厳さと権威と世界遺産

ある旅の途中、地元のご老人と立ち話をする機会がありました。そのとき、京都から旅をしていると自分の話をすると、ご老人も戦中に京都の連隊に招集された思い出を話してくださいました。

京都の連隊といえばおそらく、歩兵第9連隊だろうと後からわかりましたが、東北地方の小さな町から京都に招集され、そこから南方へと派遣されたご老人の人生は今の時代ならワールドワイドといわれるのかもしれません。

そのご老人が京都といって最初に口にされたのが、京都御所の荘厳さでした。砂利が敷き詰められ、ピンと張りつめた空気に綺麗な白壁、そのころの天皇の権威を建物と敷地が演出していたのでしょう。ご老人曰く「こんな綺麗な建物見たことなかった、東北の田舎から出て行った若者だから、そりゃ驚いたよ」と。戦地に赴く前の見学であったようで、その建物の主のために命を賭する決意や覚悟も芽生えたのかもしれません。

陽明門に繋がる参道
このように建物は古くから権威の象徴であったことは間違いないでしょう。昭和の少し前、江戸時代も徳川家康の神格化を進める過程で日光東照宮が建立されます。東照宮に詣でるには杉並木に囲まれたまっすぐの参道を歩きます。うっそうと茂る杉は原始的であり、白い砂利はその原始的な雰囲気のなかの道標といった所でしょうか。その後に現れる陽明門の荘厳さを際立たせる役目を担っていると思います。
陽明門

各地の大名やその後の徳川家の将軍、家臣達も神格化された家康の権威、それを演出する東照宮の荘厳な建物にひれ伏したのもうなずけます。世界遺産に登録され、世界各国から観光客を集めていますが、未だにその荘厳さを保っている貴重な場所と言えます。