2011年1月19日水曜日

将軍はEmperorと訳された

今回は旅行とは少しはなれて、世界の王様の称号について記事に書きす。現在、何らかの形で王制(君主制)が残っている国は50カ国ほどあります。中には英国連邦のように同一の君主を戴く国々や、アラブ首長国連邦のように多くの首長国が集まって一つの国となっているものもあります。国それぞれに歴史があり、君主制と言っても一つの特徴にまとめられません。そのため君主の称号も首長、大公、公、天皇、教皇とさまざまです。訳語もいろいろあり、日本の天皇はEmperorと訳されることもあれば、歴史上の天皇をさす場合はそのままTnnoと訳される場合もあります。


皇帝の始まり
秦の始皇帝(wikipediaより)

ただ、多くの国で統治システムは複雑化して王の役割は名目上のものになっていることも珍しくありません。江戸末期の天皇もヨーロッパ人には権威の象徴(実権は持たない統治者)として捉えられていたようです。

確かに、ヨーロッパの皇帝は、各地を統治する封建領主である伯や公、大公といった王を従える「King of Kings」といった意味合いを持っていました。皇帝も王であり自身の領地と軍隊を持ちますが、帝国での最大の実力者として皇帝を名乗ります。この制度は江戸の諸藩と徳川家の関係によく似ています。そのため江戸時代、日本の制度をヨーロッパに紹介した学者によって、将軍はEmperorと訳され、世俗権力の最高位と位置づけられました。封建制度がヨーロッパとアジアで独自に発展して、最終的にはよく似た体制になったのは面白い結果かもしれません。

一方で天皇は聖職での最高権威者と理解され、教皇として紹介されています。この捉え方は現在では正確ではないですが、当時のものとしては正確なものといえます。天皇制の成立も興味深いものなので、いつかまとめて記事にしてみます。